部活帰り。
今は夏だからまだ日が高い。
夕方なのに焼けるように暑い、それだけでなく風呂場のように蒸し蒸ししている。
そんな中、帰途につくため真田、柳、幸村、赤也の三人は歩いていた。
赤也と幸村は暑さと湿気のためかぐんにゃりしている。
「あーついーあついーあつい」
「部長…あまり暑いを連呼しないで欲しいっス…」
「そうだぞ、心頭滅却すれば火もまた涼しと言うであろう!」
「副部長………」
そんな会話をかわしながら歩いていると店が立ち並ぶ通りにでた。
どこの店も中はクーラーがはいっていて涼しそうだ。
「よし!スタバ寄ろう!!」
突然幸村が叫んだ。
ちょうど50mほど先にあの緑に白いサイレンマークの看板が見えた。
「…スタバとは何だ?
そもそも寄り道など…」
いつものように説教がはじまりそうだったのを赤也の賛成する声がさえぎった。
柳も特に異存はないようである。
真田だけひとり話題にとりのこされているが
結局三人についていく形で行くことになった。
扉をあけて中にはいると店員の
「いらっしゃいませー!」
という明るい声が響いた。
外と中はまるで天国と地獄。
外は灼熱だがやはり店内は涼やかだった。
逆に少々寒いぐらいかもしれない。
店員が「よろしければどうぞー」と四人にメニューを手渡してきた。
店内のボードはオススメドリンクとフード、本日のコーヒーの種類が書かれていた。
メニューはどれもカタカナばかりである。
「はいはーい!俺はシェイクンレモンパッションティー!」
「じゃあ俺はシェイクンレモングリーンティーにするか」
「俺はモカフラペにするっス!!」
真田を除いた三人はメニューが決まりオーダーしている。
しかし真田は途方にくれていた。
メニューの中で理解できるものは
「本日のコーヒー」「ミルク」「ジュース」ぐらいだったのだ。
キャラメルなんたらやらカフェなんたら、ましてや幸村や柳が注文していたものなどまったく理解できない。
異世界の言葉に見える。
真田はメニューをみながら固まっていた。
それに真っ先に気付いたのは柳だった。
「弦一郎…。もしかしてメニューの内容が理解できないのだな…?」
言葉につまるように真田は「あ…ああ……」と答えた。
その会話を聞いていた幸村や赤也がにやにやしながらふたりの会話に首をつっこんできた。
「なんだ、真田、もしかしてスタバはじめて?」
「副部長、横文字苦手っスもんね!!」
馬鹿にしているわけではないがにやにやしてしまう。
普段あからさまに困っているところがあまり見れないので真田が困るのを見るのが楽しいのだ。
「ひとつもわからないのか?」
「いや…少しは……わかるが……」
「じゃあそれにしておけばいいだろう」
「う…うむ…」
そして真田は明らかに挙動不審な動きでレジに行き注文した。
注文の仕方もよくわからなかったが先程の三人の見よう見まねでなんとか注文できた。
かなり必死である。
まさか飲み物ひとつ頼むにもこんなに大変だとは思わなかった…
のは真田だけのようで普通にオーダーできた三人は
真田がここにくればおそらくそうなるであろうことは
なんとなく予想できていた。
お金を払い、店員に少々お待ちくださいませ
と言われて数秒
そこにはおっさん臭い風貌に不似合いなオレンジジュースを片手に持つ真田がいた。
07.02.??